2021年、農業でのデジタル活用のトレンドは?

【中小ビジネスのデジタル化 2021年のトレンド予測 農業】

筆者自身が農業に従事していることもあって、ここ10年ほど農業でのIT活用、デジタル化、最近では「スマート農業」といわれる分野に携わらせていただいています。

TBSの日曜劇場「下町ロケット」がある意味で名刺代わりになったわけですが、自動運転トラクターや自動収穫機、ドローンでの農薬散布やリモートセンシング、田んぼの水管理の自動化システムなど、ロボティクス・IoT的な技術開発が大きく進んできました。

農業者の関心も高まり、さて、何からはじめようか、という段階が2021年なのかなと思います。5つのデジタル経営の目的の中から、特に農業で関心が高まるだろう3つを筆者の独断でご紹介します。

1.情報で会社の回転数を高める 【回転力】
省力化への関心は引き続き高まるでしょう。
人手不足やコロナ禍での農産物価格の低下もあり、低コスト経営の志向は引き続き強い。資材使用量を減らす、手間を減らす、効率を上げる。ここに新しいスマート農業技術が活用できないか?
メーカーへの問い合わせは増えるでしょう。どれくらい役に立つの?いま導入した方がいいの?本当に儲かるの?と。全国各地でのスマート農業実証の様子も動画でチェックできたりするので、ぜひ積極的に情報収集してみましょう。
回転力の強化のポイントは4つありますが、「管理水準を高める」ことが最も重要な点。農場の管理水準を一段階高める。どこの管理水準を高めますか?

2.社外との関係を拡げ、深める 【つながる力】
2021年も引き続きコロナ禍の影響はさまざまに出てくるでしょう。需給のミスマッチがあちこちで生じる。消費需要がゼロになるわけではないので、場面・形態を変化させた代替需要をしっかりつかんで少しでもカバーしたい、そういう思いではないでしょうか。
そんな中、2020年はD2C(ダイレクト・トゥ・コンシューマ)に注目が集まりました。ブームは落ち着いても、新しい消費スタイルに出会った消費者の一定割合は引き続き購買を続けるでしょう。クラウドファンディングもD2Cの一種でした。
2021年はもう少し大きめの量の取引ができるような需給マッチングの仕組みに期待が集まります。新しい需要を創出するプレイヤーが登場するでしょうから、そういう人達とつながれるかどうかがカギになります。
「つながる力」の強化のポイントは4つありますが、「顧客利便性」が最も重要です。SNSで情報を発信しているだけでなく、積極的に栽培データを提供して需要側に役立ててもらえるようなつながりを創っていきましょう。

3.情報で現場を滑らかにする 【体幹力】
2021年はあらためて体幹力の大切さが問われる年になると思います。
ロボトラやドローンのように華やかなスマート農業に興味を持つのは自然ですが、大きな投資をいきなりすべての農業者ができるわけでもありません。それでも、そういった新しい夢のある技術が刺激になって、さて自分の農場ではどうしようか、と自らを振り返る機会は増えるでしょう。そんな時にまずできることは、現場を滑らかにすること。
「滑らかな現場とは、迷わず、間違わず、し忘れることなく、誰かに聞かなくても仕事がスムースに進む現場のこと。」
なにも新しいソフトを購入しなくてもいいのです。「業務に必要な情報」を整備して、働きやすい現場を整えましょう。