社会福祉連携推進法人という新しい枠組みができるそうです

2021年3月23日の読売新聞で、「社会福祉法人 連携広がる、共同で研修・人材確保・コロナ対応」という見出しが目に留まりました。

京都市内で地域密着型特別養護老人ホームなどを運営する「リガーレ暮らしの架け橋」は、市内3社の中小規模の社会福祉法人が集まってスタートし、滋賀県や青森県の法人もあわせて現在は8法人で運営しているそうです。

記事によれば、このように地域密着で社会福祉サービスを提供したいという小規模法人が集まって組織化して、「経営ノウハウの共有」「採用や教育の共同実施」「災害時に相互応援」「地域課題への対応」「資金融通」「ICTの活用」といった点を連携して実行するような組織が、来年2022年度めどに制度化される方向のようです。その名も「社会福祉連携推進法人」。

2020年6月に成立した改正社会福祉法に盛り込まれたその制度では、この組織は地域での社会福祉事業はできない(構成する中小法人が担う)が、上記のような活動を行えるようになると。

デジトレでも「つながる力」として、デジタル技術を活用して顧客や取引先と密に連携するというデジタル活用方法をうたっていますが、まさに、同じトレンドのニュースです。

地域密着で小規模な法人だからこそできるサービスだってあるわけですよね。特に福祉の現場であれば、「やりたい」という熱い思いが相当程度原動力になっているのだと思いますから、そこではフットワークの良い中小企業が有力な選択肢となる。

しかしその一方で、人材の確保やデジタル化の推進などは、経営資源の量的制約をどうしても受けてしまうわけで、それをカバーするのがこういった連携組織体。

これ、たまたま今回ピックアップしたのは社会福祉法人について制度化というニュースなわけですが、法令等での縛りの無い事業を行う民間中小企業であれば、制度化という行政による後押しがなくたって、自発的にそういったグループを形成して事業推進していけばいいということですよね。
すでに、中小製造業で連携して受注から納品をワンストップで請け負う共同組織が運営されていますし、昔からあるフランチャイズチェーンも同主旨の機関設計。

サービスを提供する組織は個々の法人だけど、バックオフィス業務とか本社業務のようなものを共同で運営する、当然にデジタルネットワークがそこにあって、連携するデータベースがあって、デジタル技術でサポートされた業務がその上で走るような、いわば「クラウド中小企業」のような組織運営が、意外にそう遠くない時期に当たり前のものになるのかもしれませんね。

福祉用具の整備士のイラスト

参考URL
https://www.mhlw.go.jp/content/12000000/000692424.pdf
https://diamond.jp/articles/-/241189
https://www.fukushishimbun.co.jp/topics/23350